『カフカ・セレクション1時空/認知』

平野嘉彦さんチョイスのカフカ作品集。平野さんは、ドイツ語文学研究者としてとてもユニークな人で、僕も大ファンです。この『カフカ・セレクション』(全三冊)ですが、第1巻を読むと、コアなカフカファン向けという感じを明らかに受けました。平野さんの『…

雑誌『考える人』2008年5月号、8月号

5月号・・・海外の長編小説ベスト100が載っている。やっぱりドストエフスキーが強いんだな。僕が少し気になったのは、世紀末のイギリス文学に対する評価が低いこと。H.Gウェルズとか、アーサー・ドイルとか、ブラム・ストーカーとか。やはり、通俗小説扱いなの…

ドストエフスキーパラレル

コンスタンチン・モチューリスキーの『評伝ドストエフスキー』を読んでいたら、興味深い部分があった。ドストエフスキーが『虐げられ辱められた人々』を雑誌に掲載した後の批評家達の反応の箇所。 ドブロリューボフ自身、この作品を「美的批評の対象にもなり…

This is スラヴォイ・ジジェク

So what is this impossibility? In Cuba, when one man boasts to another 'I had that woman!', he implies not just 'straight' vaginal intercourse, but anal penetration-'straight' intercourse is still considered a form of petting, of foreplay,…

山村浩二「田舎医者」

いやはや、素晴らしい本を手に入れました。アート・アニメーション監督、山村浩二さんの「田舎医者」です。これは、監督が撮ったアニメーション、フランツ・カフカ原作「田舎医者」の絵本版です。僕はまだ、アニメーションのほうはチェックできていないので…

得楽園−『キミキス』(1)、(2)

ファミ通文庫の『キミキス』(1)、(2)を読みました。パラダイスですねぇ。相原の鈍感かつデリカシーのない態度で、摩央姉ちゃんをがっかりさせる場面は、胸がぎゅーっと締め付けられる思いがしますが、やっぱり恋愛のことだけ−あるいはヒロインのことだけ…

ハンス・ツィシュラー『カフカ、映画に行く』

この本は10年位前に出版された本で、話題になるところでは随分話題になったみたいですね。この本は、カフカの小説のある部分ががある映画のある場面に似ている、というような非科学的な見地から書かれたものではなく、カフカが実際どのような映画を見ていた…

種村季弘『食物漫遊記』

漫遊記シリーズで唯一未読であった『食物漫遊記』を読んだ。やはりというべきか、実に面白い。種村さんは、その博覧強記ぶりで知られているが、その知識の量や内容のみならず、使い方もが個性的で面白い。彼の本を読むと、こんなハードな知識をこんなソフト…

小杉未醒『絵本西遊記』と黒田硫黄「西遊記を読む」

小杉未醒『絵本西遊記』を読みました。各登場人物のキャラクターが、自分が抱いていたイメージと、少し違いましたね。悟空はもっと単細胞なのかと思っていましたが、主要キャラクターの中では一番頭が切れていました。八戒は思っていた通りのキャラでしたが…

Thurston Moore(編)、Abby Banks(写真)『Punk house-INTERIORS IN ANARCHY』

随分前に注文していた写真集『Punk house-INTERIORS IN ANARCHY』が届いた。この写真集はSonic YouthのThurston Mooreが編集をしていて、序文も書いている*1。本編には、Punk houseの写真が約250頁に渡って掲載されている。Punk houseの印象をひとことで言う…

夏目漱石『虞美人草』

問題は無数にある。粟か米か、これは喜劇である。工か商か、これも喜劇である。あの女かこの女か、これも喜劇である。綴織か繻紾か、これも喜劇である。英語か独乙語か、これも喜劇である。最後に一つの問題が残る。―生か死か。これが悲劇である。 十年は三…