小杉未醒『絵本西遊記』と黒田硫黄「西遊記を読む」

小杉未醒『絵本西遊記』を読みました。各登場人物のキャラクターが、自分が抱いていたイメージと、少し違いましたね。悟空はもっと単細胞なのかと思っていましたが、主要キャラクターの中では一番頭が切れていました。八戒は思っていた通りのキャラでしたが、悟浄はかなり地味でしたね。三蔵の学習能力のなさ、愚鈍さは読んでいてイラッときました。印象に残ったのは、各登場人物の変身で、変身にも能力差があるんですね。悟空が上手くて、八戒は下手くそ。そういう細かな設定が面白いと思いました。あと八戒が7人の妖女が入っている温泉の中をナマズとなって泳ぐ件は笑いました。エロさが中学生的です。
せっかくなので、黒田硫黄*1の「西遊記を読む」(短編集『大王』所収)を読み直すと、出てくる女の子の台詞でいいものがありました。「三蔵は幻しか見てないもの いい子の悟空しか見れない 悟空自身は見てないの」という台詞です。実際、悟空は三蔵から理不尽に破門されたりするんですよね。三蔵が捕えられたりすると、八戒らが悟空に「戻ってきてくれ、お師匠さんが危ないんだ」みたいなことを言いに行くわけですが、別に不満を言うこともなく助けに行きますからね。健気な奴です。
時間があれば、長い『西遊記』もいつか読んでみたいですね。でもまぁ、この本を読むかあの本を読むか、という選択は自分の素朴な希望とは一致しないことが往々にしてあるので、機会があればという感じですけど。

大王 (Cue comics)

大王 (Cue comics)

*1:早く復帰して欲しいですね