田邊剛『累』(弐)

「これぞ、和製恐怖の真骨頂」と帯には書かれていますが、ただ恐怖を感させるだけでなく、人間のさまざまな側面について、なかなか考えさせる内容になっております。もし、豊志賀の亡霊を具現化させているものが、彼女の怨念であるとすれば、「罪を犯した人間は、その罰を受ける」という話になりますし、新吉のguilty conscienceであるとするならば、「罪を犯した人間が、その罪意識から解放されることはない」という話になります。このマンガにおいては、どちらにも取れるように描かれています。途中に挿入される、累ヶ淵に関する逸話なども沈思黙考を促す内容になっております。夜寝る前には読みたくないマンガです。

累 巻之弐 (BEAM COMIX)

累 巻之弐 (BEAM COMIX)