武富健治『鈴木先生』(5)

いやはや、今回も過剰な描き込みの量でしたねぇ。あまりにも豊穣なものを含んでいるので、学校の掃除について個人的な回想を書きますと、僕自身は、掃除が好きなタイプの人間だったので、覚えている限り、サボったことはないです。中学時代は僕はいつも3人で―♂二人と―帰っていたのですが、教室の外で二人が待っていて、何やら楽しげに話しているのを掃除しながらチラチラ見ている感じとか、普段は話さないようなクラスメイトが構えるチリトリの中に、遠慮がちにアイコンタクトを取りながら、ゴミを掃き入れる感じとか、今から思えばそういうのが楽しかったですねぇ。もうあんな風に掃除をすることもないんやろうなぁ。もちろん、学校は息苦しい場所には違いなかった、というのはありますけど、そこでしかできない経験というのも、やっぱりあるんですよね。ナイーヴでセンチメンタルな話ですけど。ただ、真面目にやっていた人間としては、丸山康子の苦悩も分かる気がします。中学時代は女子がいたこともあってか、露骨にサボるようなクラスメイトはいなかったと記憶しているのですが、高校は男子校だったので、普通に帰るような奴もいまして、悪い班になったときは、ひとりで掃除をするというようなこともありました。まぁ、先にも書きましたように、僕は掃除が好きだったので、黙々とひとりでやっていたのですが、さすがに机を運び、教室全体を掃き、机の上を雑巾で乾拭きして、ゴミを集め、ゴミ捨てへ行き、教室の鍵を閉めて、鍵を職員室まで持っていくとなると、ひとりじゃ辛いな、と思うこともありました。まぁ、学校の掃除なんてのは、高校生くらいの男子学生にとっては、真面目にするに値しないことでしょうが、僕にとっては結構、思い出深いものでもあるんですよね。そういった意味で、鈴木先生の「@掃除当番」は個人的に、思うところが多かった回でしたね。

鈴木先生 5 (アクションコミックス)

鈴木先生 5 (アクションコミックス)