ゴーゴリ、ドストエフスキー、あるいはルソー

亀山先生が『悪霊』論で書かれていたと思うんですけども、ドストエフスキーとルソーの考え方には似ている面があるらしいですね。そういった見方については、もちろん、反対する方々もいらっしゃるわけなんですが、そこにゴーゴリを挟んでやるととても面白い。
というのは、先日、トロワイヤの『ゴーゴリ伝』を読了したのですが、ゴーゴリにはスミルノーワ夫人というプラトニックラヴの相手のような人がいまして、その腹違いの弟であるレオン・アリノルディの兄がいったところによると、「ゴーゴリジャン・ジャック・ルソーは大いに共通した面がある」と。(アンリ・トロワイヤゴーゴリ伝』p.454)
面白いと思いませんか?まぁ、僕はルソーに疎いので、思想的、人物的にどの辺が共通しているのか、分かりかねるのですが、個人的にはなかなか興味深い指摘だ、と思います。まぁ、深く追究する気もないんですけどね。
ゴーゴリ伝』自体、とても面白かったです。作品を除けば、とても尊敬できるような人物ではありませんが、やっぱり伝記はそういう変態的な人のもののほうが面白いですね。作品に関しても、その傾向はあると思います。人間的に素晴らしい(といわれる)人が書いたもの、あるいは作ったものは、あまり面白くないんですねぇ。ドストエフスキーの小説はすごいですが、だからといって人間的に尊敬できるか、と言えば尊敬できませんし。ちなみにドストエフスキーは結構女好きでしたが、ゴーゴリは女嫌いで、この伝記によれば、生涯、性的関係は持たなかったようです。プラトニックラヴ的なものはあったみたいですけどね。