天才とは・・・
前回は天才少女について少し語ったので、今回は少し狭い分野−学問−の天才について言及させていただきます。僕が天才として真っ先に思い浮かべるのは、ノーム・チョムスキーという学者ですね。僕は言語学については門外漢なので、詳しくは説明できないのですが、チョムスキーは、後の研究者に豊富なテーマを与えちゃった人です。チョムスキー後に、彼を批判しようとしてなされた研究は膨大ですからね。まさしく後続世代をインスパイアしまくったわけです。エピゴーネンだけではなく、多くの反チョムスキーを生んだのはすごいです。
カフカ研究の領域では、ヴァルター・ベンヤミンがそういう人だと思います。彼のカフカ論「フランツ・カフカについて」はカフカの没後10年に書かれたものですが、早くもカフカを神秘化する態度からは離れたところに居る。そしてカフカ文学における身振りの問題にいち早く言及している。その他、ファインディングスの次元で非常に面白い部分があります。ベンヤミンのカフカ論はブロッホやブレヒトの影響を受けているんで、彼だけがすごい、というわけではないかも知れませんが。
カフカとベンヤミンの研究を両立させている人が多いのですが、それも頷ける気がする。カフカ研究をすれば、必然的にベンヤミンを読むことになりますが、そうするとベンヤミンが面白くなっちゃうんで、それも研究するようになる、ということでしょうね。まぁ、逆のパターンもあるとは思いますが。ウィキペディアなどを見ると、ベンヤミンとカフカの関連は全く書かれていませんが。
ベンヤミンに言及する人はどうしても、メディア論やコミュニケーション論をやっている人が多いので、(狭いドイツ文学界などを除いては)文芸批評家としてのベンヤミンはほとんど無視されている状態みたいですね。非常にもったいないです。カフカやブレヒトに限らず、文学に興味のある人は、読んでみることをお勧めしたい。学ぶべきところが非常に多いと思います(と最近読んだばかりの僕が偉そうに言ってみる)。