thurston mooreの新作、trees outside the academyとカート・コバーンのこと

Sonic Youth(以下、SY)のサーストン・ムーアの新作ソロアルバムがAmazonから届いた。歌詞カードには、ルー・リードパティ・スミスのレコードを抱えた若かりし頃のサーストンの写真が収まっている。同時に、署名付きの投稿記事の写真なども収録されている。とても、興味深い。サーストンも、カート・コバーンに劣らない面構えをしているのだから、もう少し若い頃、メジャーになっていれば、写真集などが売れていたかもしれない。そんな変なことを考えた。音楽的には、アコギを多用したフォーキーな印象が強いが、それだけでなく、エレキはもちろんのこと、ピアノ、バイオリンなどが使用されている。ドラムはほとんどスティーヴ・シェリーが担当しており、J・マスシスも4曲ほど、リード・ギタリストとして参加している。とりわけ、気を衒った感じでもなく、だからといって、SYと同じことをしているわけでもなく、ただサーストンのアルバムだな、と感じさせられる一枚。
僕はカート・コバーン経由で、SYを知ったので、どうしてもカートとサーストンを比較してしまうのだが*1、カートはサーストンに比べて、あまりにも不自由であった、という気がする。それは、PV制作への関わり方を見れば、一目瞭然である。SYのPVのほとんどは、SYのメンバーが選んだクリエイターによって制作されているが、ニルヴァーナのPVは全て、カートによって制作されている。もちろん、カートは、鋭敏な芸術的センスを備えていたから、そういうことができたんだろうけど、創造的な活動を続けるには自閉的過ぎた、と僕などは思う。その点サーストンは、多くのコラボレーションを積み重ねているし、自らレーベルを立ち上げ、前衛的な音楽を制作、販売している。だからこそ、いつまでも若々しく、創造的でいられるんだな。

Trees Outside the Academy

Trees Outside the Academy

*1:まぁ、10年未満のキャリアしか持ち得なかったカートと、少なくとも25年以上のキャリアを持つサーストンとを比較するのもおかしな話だが。