山本直樹『レッド(1)』

とうとう山本直樹の『レッド』を読みました。誠実な作品だと思います。現代的な視線から、当時の状況を揶揄的に描く、ということもなく、だからといって、学生運動を前面的に肯定することもない。もちろん、僕の世代からすれば、「革命を志向する」こと自体が、日常生活をうまく生きられない者の「埋め合わせ」に過ぎません。しかしながら、当時はそれだけではなかったのでしょう。驚いた部分もありましたし、「やっぱりな」と思った部分もありました。これは当時を知る人間と知らない人間の反応の差にも、現れてくると思います。しかし、一番の驚きは、一冊の単行本を通して、性描写が全くないこと*1。このことは、山本直樹作品史における、革命的事件であると言えるでしょう(笑)

レッド(1) (KCデラックス)

レッド(1) (KCデラックス)

*1:実は、予告の部分に少しあるのですが