クローズ的なもの、詐欺師的なもの

うちの姉貴は『クローズ』や『WORST』といった高橋ヒロシ作品が好きなのだが、僕はいまいち好きになれない。おそらくそれは僕自身が、高橋ヒロシ的なものを、僕が愛する詐欺師的な存在の対立物として考えていることに由来しているのだと思う。高橋ヒロシ作品は、ある社会的平面上における「上昇/下降」の物語であるというイメージが、僕にはあって、そういうのよりも、こっちの平面からあっちの平面へ、すいすいと軽快に駆け抜けていくような詐欺師たちの方にシンパシーを感じてしまうのである。もちろんこれは趣味の問題であり、どちらの方が良いというわけではないだろうが、「強さ」よりも「軽快さ」に対する憧れを、私は強く持っている。クレイジーキャッツ的な飄々とした感じが、やっぱり好きなのだ。